大山です、
少し前の記事で
老後資金対策・節税対策として
政府が用意した制度:iDeCo
について紹介しました。
まだご覧になっていない方は
ぜひお読みください。
初心者にもわかりやすい!はじめてのiDeCo【入門編】
https://sales-copywriting.com/hajimete-no-ideco/
この記事をご覧になった方は
iDeCoについてある程度
理解できたかと思います。
ただ、いざ60歳になった時
どのようにして受け取れるの?
気を付けるポイントは?
ということも気になった方も
いることでしょう。
実際、iDeCoは積み立てたお金を
60歳まで引き出せないうえに
受け取る際の税金も複雑だったり
します。
さらには2026年から
大改悪とも言われる変更が発表されました。
iDeCoの入り口についてしっかり理解したものの
出口戦略について考えずに取り組むと
人によっては1,000万円以上も損をしてしまう
可能性もあるんです。
ではiDeCoで積み立てたお金を
どう受け取れば良いのか。
具体的な数字を使って
分かりやすく解説します。
あなたがコツコツ積み立てた老後資金。
これからiDeCoを始めようと考えている方、
すでにiDeCoを始めており、受け取りが迫っている方は
受け取る際に損をしたくないなら、
必ず最後までお読みください!
iDeCoとは
iDeCoは個人型確定拠出年金といって、
簡単に言えば、自分で積み立てる
年金制度のことです。
iDeCoで積み立てたお金は、
全額が所得控除の対象。
その分所得税や住民税が安くなり、
節税効果に非常に有利です。
例えば、年収500万円の会社員が
毎月2万円を積み立てると、
一年間で24万円。
すると24万円分の所得税と
住民税が節税できます。
税金を計算する税率が10%だった場合、
年間で約4.8万円もお得になるんです。
そして積み立てられる掛金額の上限が
昨年2024年12月に引き上げられ
さらなる節税効果を見込めるようになったのです。
中でも会社に企業年金がない
主に中小企業の会社員は、
掛金上限2万3,000円から
月6万2,000円と大幅にアップしています。
掛金が上がるとそれだけ
節税効果を見込めます。
今までは月2万3,000円なので
12ヶ月で27万6,000円。
この金額に所得税や
住民税の税率が掛けられます。
例えば、所得税・住民税合わせて20%の
税率で計算した場合、5万5,200円の節税でした。
それが、月6万2,000円となると
拠出金74万4,000円に税率20%で計算すると
14万8,800円。
年間14万8,800円の減税効果となり
差額は9万3,600円。
約2.7倍もの減税アップとなります。
何も知らずにこの先も払い続けるなら、
iDeCoを使って節約できた方がお得ですよね。
ただし、積み立てたお金は
60歳になるまで引き出せません。
「そんなに長いの?」
と思うかもしれませんが、
ここがiDeCoが確実に
老後資金にできる大きなポイント。
お金を自由に引き出せてしまったら、
老後を迎える前に受け取る金額が
目減りしてしまいます。
その点iDeCoなら
計画的に貯蓄を進められます。
老後資金を十分に確保できれば、
安心して老後を迎えられるでしょう。
iDeCoの受け取り開始時期は
60歳から75歳。
自分で受け取るタイミングを選べるため、
ライフプランに合わせてお金を引き出せます。
毎月コツコツ貯金をするのであれば
iDeCoで貯めていった方が
非常にお得であるということが
お分かりいただけたと思います。
iDeCoの受け取り方
税制優遇が大きなiDeCoですが、
お金を受け取る際は注意が必要。
受け取り方やタイミングを変えるだけで、
税金のかかり方が全く異なりますし、
受け取り時のルールが
2026年に大きく変わりますので
必ず最後までお読みください。
何度もお伝えしますが、
最後までしっかり理解しないと
あなたがコツコツ貯めたお金を受け取る時に
税金として納めるハメになるでしょう。
DeCoの受け取り方には
主に2つの方法があります。
1つは、一時金という形で
全額を一括で受け取る方法。
もう1つは、年金という形で
分割して受け取る方法です。
①一時金(一括で全額受け取る)
退職金と同じように扱われます。
退職所得の税制は、他の所得と比べて
控除の割合が大きいので、節税効果バツグンです。
退職所得の計算方法はこちら。

iDeCoで受け取った一時金から
「退職所得控除」を引いて2で割った金額が
課税される退職所得となります。
この計算した金額に所得税と住民税をかけるので
節税効果として高くなります。
「大山さん、何を言っているのか
訳がわかりません!」
中にはこう思った方もいるでしょう。
ここから計算式を用いながら
なるべく分かりやすく解説します。
未来に受け取るお金のためにも
頑張ってついてきてください。
それでは続けますね。
では先ほどの計算式にある退職所得控除とは
何か?というと、こちらになります。

勤務期間が20年以下は
勤務年数1年につき40万円。
勤務期間が20年以上だと
1年につき70万円控除が増えていきます。
先ほどの計算式に当てはめると
———————————
受取金額:2000万円
勤務年数:30年
所得税・住民税:20%
———————————
の場合、

退職所得控除は
今回は30年勤務しているので
20×40と10×70で合計1500万円の控除となります。
つまり1500万円までが非課税。
iDeCoを30年間積み立てをしていれば、
一時金が1500万円までは税金負担はゼロとなります。
少額でもよいので、いかに早く積み立てを始めるかが
大事なポイントということですね。
では計算の続きです。
退職金2000万円から1500万円を引き500万円。
ここからさらに½をかけ250万円。
この250万円に対して税率を掛けた金額が
税金として差し引かれます。
今回の場合ですと250万円×20%で
50万円。
2000万円の退職金があったとした場合、
税金は50万円まで抑えることができます。
そのためiDeCoを受け取る際にも
一時金(退職金)として受け取った方が
より多く受け取ることが可能となる訳です。
もし「難しい」と思われた方は
何度もこの記事を見返してください。
見返すうちになんとなく
理解することができると思います。
②年金(分割で受け取る)
年金として分割して受け取った際にも
基本的には税金は抑えることが可能です。
この場合は雑所得として扱われ、
公的年金等控除を使って税額が計算されます。
雑所得の計算方法は、こちら。

iDeCoで受け取る年金額に厚生年金、
国民年金などの公的年金額を足して
「公的年金等控除」を引いた金額が雑所得です。
「公的年金等控除」は受け取る年齢や
金額によって異なるため、少し計算が複雑です。
たとえば、65歳から75歳までの10年間で
毎年100万円を受け取る場合。
公的年金が200万円だと
「公的年金等控除」は110万円。
つまり300万円から110万円を引いた
190万円が雑所得となります。
税率を20%で計算すると、
年間でかかる税金は38万円となりますが、
年金で受け取る場合は
もう1つ気にしておくことがあります。
何かというと、
年金として受け取ると、
収入が増えるため
場合によっては現役並み所得者とされ、
70歳以降の国民健康保険料の負担額が
増えるかもしれません。
年金によって
国民健康保険料の負担額が増えるのは
ちょっと嫌ですよね。
少し複雑な計算にはなりますが、
受け取る額や税率により
どの選択が良いかは人により変わります。
老後の不安を解消するために取り組むのですから
面倒であっても、受け取る時、
iDeCoの出口についてしっかり考えながら
積み立てるのがベストでしょう。
2026年から変わる「ルール」
iDeCoの受け取り方について
なんとなく理解したところで、
2026年に改悪とも言われている
10年ルールについて解説していきます。
正直、ここからが
非常に重要なポイントです。
きちんと理解しておかないと
仕事を辞めたいのに
iDeCoをやっているから辞められない。
そんな悲劇を招くことになります。
では、改悪と言われる10年ルールの解説の前に
今までのルールについて解説します。
まず大前提として
退職所得控除は重複して
使うことはできません。
そのため退職した際に
退職金とiDeCoを合わせて受け取ろうとすると
勤続年数とiDeCo加入年数が長い方が
適用されるため、どちらか一方でしか
退職所得控除を適用できません。
そうなると、退職所得控除を大幅に上回り
税金の負担が増える可能性が高くなります。
・19年ルール
仮に退職金とiDeCoの受け取るタイミングを
ずらしたとしてもその重複期間は
退職所得控除額は減額されてしまいます。
これがiDeCoの19年ルールと言われるものです。
退職金を受け取ってから19年以内にiDeCoを
受け取る場合は、重複されている期間に関しては
控除しません、というルールです。
つまり60歳で退職し退職金を受け取り、
iDeCoを受け取れる年齢上限:75歳で一時金を受け取ろう
と考えた場合、
iDeCoの19年ルールにより
退職所得控除は満額適用されないんです。
なぜこんなルールがあるのか?というと
退職金は何度も受け取るものではないため
退職所得控除も一度きり。
iDeCoは給付時期をある程度自由に選べるため
何度も退職所得控除を使えないように
19年というルールが設けられました。
もしこのルールがないと
分割で退職金をもらうといった
税額を自由に操作できてしまいます。
自由が効かない期間として
19年という長い期間を開けなくては
いけないというのが19年ルールです。
・5年ルール
こちらはiDeCoの一時金を先に受け取り
5年後に退職金を受け取れば
それぞれ退職所得控除を使えますよ
というルールです。
なぜ先に退職金を受け取る場合と
先にiDeCoを受け取る場合で違うのか?
というと、
iDeCoの受け取り時期は自分で選べますが
退職金受け取り時期は自由に選べないためです。
受け取り時期を選べない退職金を後に受け取るのであれば
iDeCoを受け取ってから5年あければ
退職所得控除をどちらにも使えるという訳です。
2026年からの10年ルール
10年ルールとは
先ほど解説した5年ルール、
iDeCoを先に受け取り
退職金を5年後に受け取れば
退職所得控除が両方に使えますよ
という期間が10年に変更される
ということです。
つまり60歳でiDeCoを受け取ると
70歳まで働いて、
退職金を受け取る必要があるんです。
自分で働く期間、退職金受け取り時期を
選択できないとなると、
iDeCoを受け取る時期を考える必要が出てきます。
もしiDeCoを受け取ってから
10年経たずに退職金を受け取ると
退職金の所得控除を受けられるのは
iDeCoと重複していない期間だけ。

この図の黄緑色のところ
重複期間の20年はiDeCoで控除を使っているので
残りの10年分で退職所得控除が使えるということです。
5年でしたら受け取り時期を
調整できそうですが、
10年となると難しくなりそうですね。
この改悪を聞くとiDeCoはしない方が
いいんじゃないか。
すでにiDeCoを運用しているのに
どうしたらいいの?
不安になっていることでしょう。
そもそもこの変更がされた理由は
運用している時の掛金は全額所得控除となり
減税されているので、
給付時には課税するのが当たり前。
退職所得控除や年金課税も控除が大きいため
見直すために今回の10年ルールという
改悪となったようです。
iDeCoはしない方が良いのか
すでにiDeCoを運用している場合
どうすればいいのか?
についてですが、
結論は、また今回のような変更が
される可能性があるので
とりあえずはそのまま続けるのがベター。
現時点で、一時金と年金(分割)で受け取るかで
税金が変わるのはおかしいなどの話題が出ているので
今後も変わる可能性は大いにあります。
ただし、iDeCoの情報は常に確認し
受け取り間近になって焦らないよう
受け取り時期などの計算はしておく必要があります。
そしてiDeCoをした方がいいのかどうかですが、
iDeCoを運用するメリットは
掛金に対し全額所得控除となるため
減税につながります。
そして、19年や10年ルールはありますが、
控除が何もない訳ではありません。
特に
・会社の退職金制度があまりない
・年金も少ない
中小企業や個人事業主の方は
iDeCoはやっておいた方が良いでしょう。
こちら以外の方にとっても
減税効果は減りはしますが全くない訳ではないので
iDeCoを活用するメリットは十分にあります。
60歳で市場が暴落してしまったら
iDeCoの積立は、株式や債券などの
様々な金融商品に投資をします。
投資である以上は市場が暴落し、
資産価値が大幅に下がるリスクが
ないとは言えません。
しかし、iDeCoの最大の利点の1つは
受け取り開始を自由に遅らせられる点です。
受け取りを開始できる期間は
60歳から75歳まで。
タイミングを自分で選択できるため、
市場が低迷している間に受け取りを
開始する必要はありません。
これまでも、リーマンショックや
コロナショックなどの大きな市場暴落が起きた際に
資産価値は数年で回復しています。
たとえば2008年のリーマンショック後。
株式市場は大幅に下落しましたが、
その後約5年をかけて回復しています。
具体的には、S&P 500指数。
2007年10月の高値から2009年3月に底を打った後、
2013年、4年かけて元の水準に戻っています。
また2020年のコロナショック。
世界の株式市場が短期間で急激に下落しましたが、
その後わずか1年で回復を果たしています。
S&P 500は2020年2月から3月にかけて約30%
下落しましたが、その後、2020年末までに
ほぼ完全に回復しました。
もし60歳で暴落があっても、
5年間受け取りを延期すれば、
資産を減らすことなく回復を待つことができるでしょう。
iDeCoの資産運用では、リスクを分散するために
株式、債券、リートなどを組み合わせることが
推奨されています。
市場が暴落した際には、投資商品の見直しを行い
より安全な資産への配分を変更することも
リスク分散には有効です。
まとめ
iDeCoは、老後資金を準備するために
有効な制度ですが、
その効果を最大限に引き出すには、
適切な受け取り計画と
税金対策が欠かせません。
積立額は最低5,000円から可能です。
積立額が小さくても、長期的に見れば
大きな金額となります。
積立期間が長いほど、退職所得控除によって
節税できる可能性が高まります。
老後の資金計画をしっかりと立て、
最低限の積み立てでも継続することが
将来の経済的な安定に繋がります。
市場状況に応じて柔軟に対応し、
長期的な視点で資産運用を続けることで、
より良い老後の備えができるでしょう。
事前にシミュレーションを行い、
自分のライフプランに合った受け取り方法を
選択できるようにしてください。
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