『スノッブ効果』とは、「多くの人が持っているものを自分は持ちたくない」、または「他の人が持っていない希少なものを持ちたい」と思う心理効果のことです。アメリカの理論経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱されました。
わかりやすく言うと、「他人とカブるのはイヤだ」という心理現象です。
この記事では、『スノッブ効果』が見られる例やビジネスへの応用方法についてあなたにお伝えします。
スノッブ効果の例(4つの限定)
「ここに、世界でたった5本しか作られていないボールペンがあります。」と言われたら、あなたはどのように感じますか。言われる前は特にボールペンが欲しくなくても、何だかこのボールペンが欲しくなりませんか。
この「数が少ないものや珍しいものを欲しくなる」ことがスノッブ効果です。このボールペンの例は『数量の限定』ですが、他にも下のような例を見ることができます。
- 期間の限定:入手できる時期や日時が限られているもの。『旬のある果物(ビワや柿など)』や『新米』などに見ることができます。
- 地域の限定:入手できる地域や場所が限られているもの。有名キャラクターの『ご当地限定キーホルダー』や『ご当地限定味』のスナック菓子など、お土産屋で見たことがあるのではないでしょうか。
- コミュニティの限定:特定の集団に属することや、会員になることで入手が可能となるもの。『会員』だけが入れる空港のラウンジ、『株主』だけの特別サービスなどがこれにあたります。
スノッブ効果の背景にあるのは「自分を他の人と差別化したい」という欲求です。この欲求を『限定性』や『希少性』で刺激することでビジネスの売上アップにつなげることができるのです。
次の項目では、スノッブ効果をビジネスに応用する具体的な方法を説明します。
スノッブ効果をビジネスに使う方法
上の項目であげた『スノッブ効果』を働かせる『4つの限定』は主にオフラインの事例をあげたので、インターネットを使ったビジネスへの応用方法をお伝えします。ただし、地域の限定をなくしたことがインターネットビジネスの良いところなので、地域の限定はありません。
例)ネットビジネスに不可欠なスキル習得塾
- 数量の限定:「同時にたくさんの人は指導できないため、先着5名までとさせていただきます。」
- 期間の限定:「今から人生を変えたいと思う人だけに入ってもらいたいので、募集の受付は本日から7日間です。」
- コミュニティの限定:「この塾に入会した人には、マンツーマンの講師指導がつきます。わからないことは電子メールやウェブ会議ソフトでドンドン質問してください。」
また、上の項目では「みんなが使っていないものを使いたい」のが『スノッブ効果』だと解説しましたが、正反対の欲も人は持っています。
それは「みんなが使っている(きっと良いものだろう)から欲しい」という欲求です(この心理現象は『バンドワゴン効果』と呼びます)。
この正反対の欲をあわせ持っているため、分野や商品によってスノッブ効果が働きやすい人、働きにくい人が出てくるのです。
例をあげると、「流行りの映画は見ない」と言って小さな映画館で上映される映画ばかり見る人であっても、外食するときには「食べ物はハズしたくないから」といって食べログをチェックして評価の高いお店に行くことがあります。
しかし、この正反対の欲も使い方によっては組み合わせることが可能です。バンドワゴン効果とスノッブ効果の組みあわせ例を見てみましょう。
バンドワゴン効果とスノッブ効果の組合せ
普通に考えれば、「みんなが使っているものを使いたいバンドワゴン効果」と「みんなが使っていないものを使いたいスノッブ効果」は正反対の欲求なので、組み合わせられないと思いがちです。しかし、両方の良いとこ取りもやり方によっては可能となります。
たとえば「前回の販売時5分で売り切れてしまった大人気商品を、今回100個の数量限定で特別にご紹介!」と広告のキャッチフレーズに書いてはどうでしょうか?
『大人気商品』の単語で「他の人も使っている・欲しがっている」というバンドワゴン効果を働かせ、『数量限定』の単語で「今は手に入れづらい・限定性・希少性」のスノッブ効果が働きます。人が持っている、正反対の欲求を少しずつくすぐることになるのです。
また、上の項目の『地域の限定』であげた『ご当地限定キーホルダー』は、この組合せを利用しています。
例)信州限定 りんご抱きつきキティのキーホルダー
・キティちゃん:「みんなが知っている」という、抜群の安定性を獲得(バンドワゴン効果)
・りんご抱きつき:「信州でしか買えない」という、地域の限定性を持つ(スノッブ効果)
このように、商品・サービスの持っている特徴の組合せ方で、両方の効果を得られやすくなります。あなたの商品・サービスでも、ぜひ使ってみてください。
高額商品とスノッブ効果の組合せ
上の項目ではバンドワゴン効果とスノッブ効果についてふれましたが、実はこの2つの効果は『消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、及びヴェブレン効果』という1つの論文の中で述べられています。
この論文に書かれている『ヴェブレン効果』もスノッブ効果と組みあわせやすいため、この方法についても紹介します。
『ヴェブレン効果』は「価格が高いとその商品・サービスの価値も高いと思うこと」です。
ダイソンの掃除機や扇風機、バルミューダのトースターなど、やや高額ですがそのデザインや機能性で売上を伸ばしている商品・サービスがあります。
価格が高いため、たくさんの人が利用するまでにはいたりません。そのため、常に『希少性』のスノッブ効果が組み合わさった状態になります。高級ブランド品の販売戦略もこの組合せを利用していることが多いです。
ただし、この方法には1つだけ注意点があります。
当たり前だと思うかもしれませんが「商品・サービスの品質も高くする」ということです。価格が高いため、良い商品・サービスだと思ってもらいやすいのですが、あまりにも価格とかけ離れた品質だった場合、お客さんの不満が大きくなってしまいます。
不満を抱えたお客さんに「詐欺だ、粗悪品だ!」と言われてしまったら、ビジネスとしては長続きできないでしょう。
まとめ
今回の記事では「他人とカブるのはイヤだ」という『スノッブ効果』についてお伝えしました。内容を簡単にまとめるとこのようになります。
- 「他の人とは違うことをしたい、違うものを持ちたい」心理現象が『スノッブ効果』。
- 『スノッブ効果』を働かせるために、限定性を押し出すと良い。
- 限定性には『数量限定』『期間限定』『地域限定』『コミュニティ限定』の4つがある。
- 正反対の『バンドワゴン効果』とも組み合わせることが可能である。
- 『ヴェブレン効果』と『スノッブ効果』は相性が良い。
マーケティングやセールスの参考書を読むと、多くの場合『限定性』や『希少性』が取り上げられています。そこでは、この『スノッブ効果』をマーケティングやセールスに活用しているのですね。
『スノッブ効果』はとても強力な手法ですから、あなたの商品・サービスにぜひ利用してみてください。
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