コピーライティング力を上達させ、「セールスレターをうまく書けるようになりたい」というコピーライターの方は多いのではないでしょうか。そのための方法として写経は必須のトレーニングです。
あなたも写経の重要性を知り、「ある程度コピーライティングについての知識はつけたので、そろそろ本格的に写経を始めたい」と考えているのではないでしょうか。
一流のセールスコピーライターほど写経を大事にしていますし、私も毎日1時間の写経を実践してその効果を実感してきました。しかし、写経についての具体的なやり方を教えてくれる情報は多くありません。
そこで本記事では、最短でコピーライティングが上達する写経のやり方・考え方を具体的にご紹介していきます。
コピーライティングはセールスレターを写経すると上達する
そもそもなぜ写経をすると、コピーライティングが上達するのでしょうか。はじめにその理由と、写経の効果を体感する方法についてもご紹介していきます。
トレーニングの全体像を把握しておくことで、安心して写経に取り組めるでしょう。
写経すると上達する理由
コピーライティングは写経をすることで上達します。それは、文章の構成や流れ、言葉の選択や言い回しなどのコピーライティングの型と考え方を身につけることができるからです。
そうして色々な型を理解しておくことで、セールスレターを書くときに応用が効くためスムーズに書けるようになります。
スポーツでも武道でも必ず初心者は型から入ります。なぜかというと、型を身につけずに自分勝手に動いても成果を出すことができないからです。また、型というのは先人の知恵の結晶でもあります。それゆえに達人ほど基礎を大事にしているのです。
たとえば1億円を売り上げたセールスレターがあるとします。そのレターを写経するということは、1億を生み出せるコピーライターがあなたの手を使って書いてくれているようなものです。はじめは、手を動かせるだけですが、続けることで徐々に「考え方」がわかるようになってきます。
この「考え方」の部分がとても重要です。文章の構成や流れ、言葉の選択や言い回しを生み出している根本の部分だからです。いくら売れているセールスレターに過激な言葉が使われているからといって、なぜその言葉を使っているかを理解していないままセールスレターを書いても反応は上がりません。
もし、反応率が上がったとして一時的なもので、長く生き残ることはできないでしょう。それは商品とコピーライター両方ともです。
このように、セールスレターを写経することでコピーライティングの型を身につけることができます。そして、先人の考え方までを理解することによって、あなたのコピーライティングはどんどん上達していきます。
写経の効果を実感できる方法
写経の効果を実感するには、やはり実際にセールスレターなどの文章を書いてみることです。 写経をしていなかったときよりも、スムーズに文章を書けることに気づけます。
まずは、SNSへの投稿やブログを活用してみてください。その際、コピーライティングについて学んだことを書くことで学習効果も高まります。他人にみられることに抵抗がある場合は日記などでも構いません。
写経の効果は文章を書くことで実感できます。また、一度効果を実感しておくことで、その後のやる気にもつながるでしょう。
実際にセールスレターを書いてみる
写経をして、SNSやブログへの投稿で文章を書くことに慣れたら、実際にセールスレターを書いてみましょう。
人間の脳は生きるために必要無いものは忘れるように出来ています。いくらセールスレターから先人の知恵を学んでも忘れてしまっては意味がありません。知識を定着させるためにも、学んだ知識を活用してセールスレターを作成してみましょう。
どのようなレターを書けばいいのかというと、写経したレターを再現してみることをオススメします。
やり方としてはヘッドコピー(読み手が一番最初に目にする文章)とサブヘッド(見出し)を書いておき、ボディコピー(本文)の部分から書き始めて見るとよいでしょう。最初は全く文章が出てこないかもしれませんが、慣れていないので当然です。お手本と照らし合わせながら続けることで、確実に文章力が磨かれていきます。
実際にセールスレターを書いてみることで、本当の意味でのインプットになります。ある程度文章になれたら実際にセールスレターを書いてみましょう。
効率の良い写経のやり方
写経は時間もかかりますし、辛くなることもあります。できるだけ効率良くおこなって、いち早く成長したいですよね。
そのために、効率の良い写経のやり方について具体的にご紹介します。ぜひ実践して最短で上達していきましょう。
手書きで写経する
手書きで写経することは時間がかかりますが、最も効率のいい写経の方法です。
手を使って書くことで、毛様体賦活系(モウヨウタイフカツケイ:情報の取捨選択機能)が活性化して細かいところまで情報を読みとれるからです。毛様体賦活系というのは、脳に入ってきた情報の取捨選択を行なっています。この機能によって、自分が重要だと思っていない情報は遮断されているのです。
ただ、手を使って文字を書くことで「この情報は重要だ」と、毛様体賦活系が思い始めます。よってレターの深い部分まで読み取れるようになるのです。
中には、写経はタイピングでおこなった方が効率的だという意見もありますが、私は反対です。
以前、気に入ったメルマガをタイピングで写経をしていた時期があったのですが、全く文章力の向上を感じることはありませんでした。しかし、手書きでセールスレターを写経したところ格段に文章力が伸びたのを実感できたのです。
手書きで写経することは時間がかかりますが、そのぶん大きな経験値を獲得できます。コピーライティングはたった1文字の違いで反応率が大きく変わる世界です。よって、手書で写経することで細部まで注意を払って読み取ることが大事です。
また、自分の文字でびっしりと埋まったノートやインクが空になったボールペンは、コピーライターとしての自信を高めてくれます。この効果はタイピングによる写経では絶対に得られません。
音読してみる
音読も効果的な写経の方法です。「写経」というか「読経」ですね。
音読は目で読んで、口で発声して、耳で聞いて確認するという3ステップを踏んでいます。普段なにげなくやっていますが、実は複雑な動作ですので脳の様々な部分が刺激されています。そのため、記憶に残りやすいのです。
東大などの難関大学へ生徒を合格させている進学予備校でも、暗記は音読がメインで教えています。
また、セールスレターを音読して録音しておくと、移動中に聞けるのでオススメです。繰り返し聴くことで文章のリズムが染み込んでいきます。
このように、音読も効率的な写経の方法です。写経の時間が確保できない日は音読をしたり、録音した音声を聞いたりするだけでもやっておくといいでしょう。
気が付いたことをメモする
写経や読経をしていると多くの気づきを得ることができます。「なるほど」と思った瞬間に、すかさずメモしておきましょう。メモすることで、写経は効率的になります。
それは、以下の2つの要因があるからです。
- 見返すのが楽
- 写経に集中できる
メモをすることで、このようなメリットがあります。それでは、順番に解説していきます。
見返すのが楽
自分でセールスレターを書くときに、「あのとき写経したレターの単語や言い回しが使いたい」と思うことが出てきます。そのときにセールスレターの中から探すのではなく、メモの部分を見ればいいのでスムーズです。
写経に集中できる
上述したように、写経は細部にまで集中して読み解くことが重要です。ですが、いつまでも気づきを頭の中に残しておいたのでは目の前の文章に集中できません。そのため、気づいたことはすぐに書きだして、安心して忘れてしまいましょう。
写経する際のノートの使い方ですが、私の場合はB5ノートを7:3ぐらいで分割して線を引き、文章の隣にメモするスペースを確保しています。
また、ノートを分割することは写経のスピードアップにもなります。書いているとわかってくるのですが、ノートの内側の部分というのは、丸みが出て書きにくいページがあるのです。その部分に書こうとすると少しもたつきますので、メモ部分として活用するとよいです。
このように、気が付いたことをメモすることで写経の効果を最大限に引き出すことができます。
写経するセールスレターの選び方
写経するセールスレターを間違えてしまうと、変な癖がついてしまいます。
初めのうちは、どのようなレターが良いかがわかりませんので、これからご紹介することを参考に選ぶようにしてください。
反応が取れているセールスレター
そもそも写経は、コピーライティングのスキルをアップさせ、反応の取れるセールスレターが書けるようになるためにしています。そのため、写経するレターは必ず反応が取れているものを選びましょう。
ただし、「世の中で反応がとれているレター」と言われているものでも、実はコピーライティングの力では無い部分で売れているものが多くあります。よって、本当に反応が取れているレターを見つけるのは難しいのです。
しかし、何十年とその効果が実証されてきた世界的に有名なレターをご紹介しますので、こちらからはじめるといいでしょう。
1000億円以上の利益をもたらしたと言われている「AMEX」のレターをご紹介します。セールスコピーライター必読のレターです。
ここでは前半の一部を記載しますので、全文はレター下部のリンクよりご確認ください。
率直に言ってアメリカン・エキスプレス・カードはすべての人のためのものではありません。また、お申し込みいただいた方全員が会員になれるわけでもありません。
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以下、省略。
全文はこちらのリンクからご確認できます。
https://goo.gl/NXsDx4
写経するレターは必ず反応が取れているものを選びましょう。世界的に何十年も売れ続けて効果が実証されているものだと間違いありません。
自分が実際に欲しくなったセールスレター
自分が欲しくなった商品のセールスレターを写経するのも良いでしょう。
自分の感情が動いたリアルな体験を分析することで、貴重な気づきを得れます。また単純に、自分が欲しくなった商品なので写経をしていて面白いです。
私が実際に申し込んでしまったレターの例をご紹介します。それは自己啓発系のセミナーだったのですが、全く同じセミナーなのに切り口の違う2種類のセールスレターが使われました。
最初のレターは「変身」というコンセプトでした。「今の自分から新たな自分に変身しよう」ということです。このレターを読んでも私はピンとこなかったため申し込みませんでした。
しかし、追加のセミナーが開催されることになり、再びお知らせのメールが届きました。そのときのコンセプトが「自分のキャラクターをつくる」だったのです。当時の私は、自分のキャラクターをどう打ち出していくか悩んでいたのでこれだ! と思ってすぐに申し込んでしまいました。
このように、同じ商品でもコンセプトとそれを表現する言葉によって、反応する人が変わることを体感できました。そして、どうして自分は動かされたのかを客観的に分析することで、これから自分が動かしたい人の反応をイメージする精度が上がっていきます。
実際に欲しくなった商品のレターを写経することで、とても貴重な知識を得ることができます。このようにして得られた知識が良いレターを書くための糧になるので、積極的に写経しましょう。
誰かのメルマガを写経するのもおすすめ
メルマガはわかりやすく書かれているので、簡単そうに見えます。しかし、実は高度なテクニックが駆使されているのです。したがって、自分が気に入ったメルマガを写経するのもオススメです。
たとえば次のような技術がもとめられます。
- 濃い内容を簡単にわかりやすく伝える
- 売り込んでいるわけではないのに買う気にさせてしまう
- 継続的に読みたくさせる工夫
どれをとっても考え無しにできることではありません。
もし、あまりメルマガを読んだ経験がなければ、どれが本当に面白いメルマガかがわからないです。よって、まずは大量に登録して読んでみてください。その中から、なぜだか読み続けてしまうものを選びましょう。
このようにメルマガは高いスキルが要求されるので、面白くて読み続けてしまうメルマガを書いている人はコピーのスキルも高いといえます。自分が気に入ったメルマガを見つけて写経してみましょう。
コピーライティングが上達する写経のコツ
ここまで、写経で「上達する理由」「効率の良いやり方」「レターの選び方」などをお伝えしてきました。ここからはさらに踏み込んで、具体的な写経のコツについてご紹介していきます。
これからご紹介することを意識するかどうかで、コピーライティング力の上達に大きな差が出てしまいます。
とても大事なことですので、写経を実践する前に頭に入れておきましょう。
ただ単に書き写すだけではだめ
あなたがもし「セールスコピぺライター(他人のコピーをそのまま転用する人)」でなく、「セールスコピーライター」を目指すのならば、ただ書き写すだけの作業になってしまってはいけません。意識してレターを読み解かなければ、レターに込められている技術を盗めないので時間の無駄になってしまいます。
私も最初のころは、時間内にどれだけ書き写せるかに挑戦していた時期がありました。昨日より30文字多く書けたなどを競ってしまっていたのです。しかし、それでは文字を書き写すスピードが上達しただけであって、コピーライティングの上達にはなっていませんでした。
たとえば、筋トレも鍛えている場所を意識するから、効率的に鍛えられます。 写経をするときもただ書き写すのではなく、しっかりと意識して脳を働かせて読み解くことで、自分の知識として蓄えていきましょう。
文章の流れや構成、キーワードを意識する
具体的にどういうところを意識して読み解いていくかというと、文章の流れや構成、布石となっているキーワードなどです。これらを意識して読み解いていくことで、自分がコピーを書く時に応用が利きます。
例として、「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」のDMに使われていた一文をご紹介します。28年間に渡りほとんど修正されることなく使われ続け、20億ドル以上を売り上げたと言われている有名なセールスレターです。
このレターは下記のような冒頭からはじまります。
25年前のある晩春の昼下がり、2人の若者が同じ大学を卒業しました。彼らには共通点が多くありました。どちらも若い男性で、学生時代の成績は中の上、感じのよい人柄でした。それに両人とも――大学を卒業する若者のほとんどがそうであるように――将来に野心的な夢を抱いていました。
同じような2人に決定的な違いが生まれたことが発覚します。
ただし、異なる点が1つだけありました。2人のうち1人は、その企業では小さな部署のマネージャーをしていました。もう一人は社長でした。
そして、答えを知りたい気持ちを盛り上げていきます。
「なぜこのような差が、人々の人生には生まれるのだろう?」そんな風に思われたことはありませんか?生まれつきの知性や才能、努力が常にその要因とは限りません。一方が成功したくて、もう一方はそうでなかったわけでもありません。
この構成を理解していれば、他の商品のレターを書くときに応用ができます。たとえば、iPhoneのセールスレターと仮定して、最後の文章を置き換えてみます。
「なぜiPhoneだけが、発売日に行列ができてしまうのだろう?」こう思われたことはありませんか。機能性やデザイン性がその要因とは限りません。iPhoneが使いやすくて、そのほかのスマートフォンがそうでないわけでもありません。
このように実績のあるレターから表現を借用することを「スワイプ」と言います。コピーライターは通常ゼロから文章を作ることはなく、先人の知恵をスワイプして文章を組み立てていきます。ただ、どういう意図で使われているのかがわからなければ、いくら結果が出ているレターの表現をスワイプしたからといっても検討違いの文章になってしまいます。
写経の時に文章の流れや構成、布石となっているキーワードなどを意識して読み解いておくことが大事なのです。さらに、気付いたことをメモしておくことでレターを書く時の貴重な資料になります。
レターで人間が行動する仕組みを理解する
コピーライティングをする上でもっとも重要な考え方に、読み手心理3原則というものがあります。
- そもそも人は「100%読みません」
- 読んでくれても「100%信じません」
- 信じても「100%行動してくれません」
英語では「Not Read, Not Believe, Not Act」(3Not)とも呼ばれます。
この心理を前提として、ではどうすれば「読んでもらえるか・信じてもらえるのか・そして行動してもらえるのか」を考え尽くしてつくられているのが、反応が出ているセールスレターです。
たとえば、下記のコピーを読んでどう感じるでしょうか。
ピアノの前に座ったとき、皆は笑いました。
けれども、私が弾き始めると!
これはジョン・ケープルズという有名なコピーライターが書いた、米国音楽学校の通信講座DMのヘッドコピーです。
おそらく、何が起こったのか知りたくなったのではないでしょうか。それは100%読まない壁を突破したということです。そして、信じてもらうために証拠となるデータやお客様の声を掲載したり、行動してもらうために具体的で簡潔な手順を提示したりします。
このように、読み手心理3原則(3Not)を前提としてレターを組み立てなければ、どんなに素晴らしい商品を紹介していたとしても読まれることすらありません。
したがって、セールスレターから人間が行動する仕組みを学んでいきましょう。
まとめ
コピーライティングを上達させ、結果の出るセールスレターを書くために必須の「写経」についてお伝えしました。
写経をするには具体的にどのように考え、実践すれば良いのかについてご理解いただけたのではないでしょうか。
コピーライティングの世界には「毎日コピーを書かない人間はコピーライターではない」という言葉があります。しかし、ただアウトプットするだけではコピーライティングが上達することはありません。読書や写経によるインプットが必要です。
ぜひ本記事を参考に写経をはじめて、一流コピーライターを目指しましょう。
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