『テンション・リダクション効果』とは、重要な決断や大きなイベントの後に注意力が少なくなっている心理状態のことです。緊張状態(= テンション:tension)が消滅(= リダクション:reduction)して、心が無防備な様子をあらわしています。
たとえば、ファーストフード店にて単品のハンバーガーを注文したときに、ニッコリ笑ったレジの店員さんから「一緒にポテトはいかがでしょうか?」と言われたことはありませんか? このタイミングで別の商品をすすめられると、結構な割合で「じゃあ、それも」と、買ってしまうお客さんが多いのです。
このファーストフード店の販売手法には、『テンション・リダクション効果』が使われています。
この記事では『テンション・リダクション効果』が見られる例や、ビジネスでの活用方法をあなたにお伝えします。
大きなイベントの後は要注意!
「うちに帰るまでが遠足です!」と小学校の遠足で、校長先生から言われたことのある人はけっこう多いのではないでしょうか? お笑いのネタなどにもよく使われる言葉ですが、これに続けて「だから、よく気をつけて帰りましょう!」とも言われているはずです。
これは遠足から学校に帰ってきたことで、緊張の糸が切れてしまう児童が多いことをあらわしています。そのため帰宅までに事故やケガにあわないように、校長先生は児童たちに注意を呼びかけているのです。
小学生の遠足に限らず、人は大きなイベントを終えたときに緊張の糸がゆるみやすくなります。これが『テンション・リダクション効果』の心理状態です。
私も以前、仕事で重大な報告書を提出した後に、自動車をガードレールに当ててしまったことがあります。
車のダメージはコスリキズが少しついた程度でしたが、それよりもショックだったのは、会社近くの普段行き慣れた道だったことです。大きな仕事を終えて、それだけ気持ちがゆるんでしまっていたのでしょう。
またドラマや映画のメーキング映像を見ていると、俳優さんが長いセリフを完璧に言い終えた後で、何でもない簡単なセリフを間違えることがあります。これも『テンション・リダクション効果』による失敗ですね。
『テンション・リダクション効果』があることを知り、大きなイベントや重大な仕事の後でも気を引き締めて用心することで、大きな失敗を防ぐことができます。『テンション・リダクション効果』と聞くと、カタカナが多くてピンとこないかもしれませんが、ことわざで言う『勝って兜の緒を締めよ(かってかぶとのおをしめよ)』が、似たような意味になりますね。
高価な購入時の『おすすめ』
車を買ったことがある人は多いと思いますが、買った直後にカーナビやアルミホイールなどのオプションもすすめられることがほとんどでしょう。これはカーディーラーが『テンション・リダクション効果』による『ついで買い』をねらっているからです。
自動車のように人生で数回しかない大きな買い物は、購入を決断するまで強い緊張状態に置かれています。一方、決断後は緊張状態から開放されるため、車の金額よりも安いオプション品に対しては「後で欲しくなって取り付けるのも面倒だ」と、割と気軽につけてしまいがちです。
後から明細を見直してみると「最初はこんなにつけるつもり無かったのになあ」と、思うかもしれません。
車の購入以外では、結婚式会場を決めた後に1つ上の装飾や写真アルバムのオプションをすすめられる例や、もっと身近な所ではスーツを買った後に靴やベルトのオプションをすすめられる例があります。
とは言え『テンション・リダクション効果』で『ついで買い』したものがすべて不要なものとは限りません。使っているうちに「やっぱりつけて良かった」「おすすめだったから使いやすい!」と気に入ることも多いでしょう。
大切なのは『ついで買い』をすすめられたときに「今、自分は気持ちがゆるんでいるな」と、思えることです。少し考えてみて、自分の生活やライフスタイルの中で使いそうなオプションであれば、オススメにのってみることも良いのではないでしょうか。自分が思いつかなかったオプションであれば、視野を広げることにもつながります。
ビジネスでの活用方法
上の項目で『テンション・リダクション効果』が見られる例をあげてきましたが、これを実際にセールスに活用するにはどうすれば良いのでしょうか。上の例をマネするだけでも効果はあるのですが、少し細かく見てみましょう。
少し安いものを紹介
『テンション・リダクション効果』による『ついで買い』のうながしは、お客さんの気持ちがホッとゆるんだ時におすすめします。そのため、購入を決めたものよりも少し安いものを紹介することが多いです。そうすれば、ゆるんだ気持ちのままで話を聞いてもらうことができるからです。
車の購入を決断したお客さんに「お車もう一台いかがでしょうか?」とは言いませんよね。そんなことを言ってしまったら、せっかくゆるんだ気持ちがまたこわばってしまいます。ゆったりした気持ちで聞ける内容を提案してみてください。
この例はスーパーマーケットやファミリーレストランのレジ横で見ることができます。今から支払う金額に対して安めのスナックやガムなどを置くことで、さりげなく『ついで買い』を提案しています。つい買ってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか?
『ついで買い』を正当化
自動車と一緒にカーナビを購入する理由に「後で取りつけると面倒だから」というものがあります。たしかに自分で取りつけできる人は少ないですし、取りつけをお願いするときはわざわざ車を預けなければいけません。
服を買うときも、その服に合う靴やベルト、アクセサリーが目につけば「次に必ず欲しくなるから」「後でそろえるのは時間がもったいないから」という理由がわいてきませんか?
このように、『ついで買いを正当化する理由』があると『テンション・リダクション効果』が働きやすくなります。
ファミリーレストランの入り口に食事と関係のないおもちゃがたくさん並んでいることがありますが、「子供が欲しがったから」だけではなかなか売れないでしょう。しかし「待ち時間が長いと孫が退屈するから」「大人の会話に入れないと子供たちは暇になるから」という『購入を正当化できる理由』ができれば、売り上げにつながります。
バンドワゴン効果も活用
『バンドワゴン効果』という心理状態を知っていますか? これは「みんなが使っているものを使いたい」という心理状態なのですが、『テンション・リダクション効果』と組み合わせることで売上アップに貢献します。
ネットショッピングのamazonで買い物をするときに、この例を見ることが可能です。カートに商品を入れると、『〇〇とよく一緒に購入されている商品』『〇〇をチェックした人は、こんな商品もチェックしています』と表示されます(レコメンド機能といいます)。
つまり、購入を決めたときに、他の人も使っている関連商品をおすすめしているのです。
この手法がどのくらい売上に影響しているのかは詳しいデータが無いためよくわかりませんが、amazonで1998年以降ずっと使われているため、売上に貢献していることは間違いないでしょう。
ビジネス利用でのたった1つの注意点
『テンション・リダクション効果』のビジネスでの活用方法をあげてきましたが、注意点が1つあります。それは『お客さんのためになる』ものをオススメすることです。
いくら相手の緊張がとけているからと言って、なんでも『ついで買い』をすすめてはいけません。冷静になったときに「あー、いらない物を買わされた」と思われてしまったら、そこであなたと顧客の信頼関係は崩れてしまいます。
購入者の行動や心理状態を先回りして考えて、『きっと必要になるもの』や『課題をカバーできるもの』をすすめなくてはいけません。お客様から「一緒にすすめてもらったアレ、とってもイイネ!」と言われるようにすれば、信頼関係はもっと強くなります。
まとめ
今回の記事では、無防備な心理状態になる『テンション・リダクション効果』についてお伝えしました。簡単にまとめると、以下のようになります。
- 重要な決断や大きなイベントの後に注意力が少なくなっている心理状態が『テンション・リダクション効果』
- 大きなイベントの後は不注意による事故やケガに要注意!
- 高価な買い物の後はオプション品も買いやすくなる
- 『テンション・リダクション効果』をビジネスで利用するときは『お客さんのためになる』ように
あなたの心でも『テンション・リダクション効果』が働いていることを意識しながら、ビジネスにも役立ててみてください。
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