何度も会えば好きになる!? ザイアンスの法則とは?

一家のお父さんがしゃべる白犬という、変なテレビコマーシャルがあります(2019年3月現在)。あなたは見たことがあるでしょうか?

このコマーシャルの白犬、普通に考えれば非常におかしな配役ですが、このテレビCMは10年以上続いています。この配役についてクレームが入っているとは聞かないため、もうおかしいと思う人がいないのでしょう。

この現象は『ザイアンスの法則』と呼ばれる心理法則が大きく影響しています。今回はこの法則について詳しく解説し、生活やビジネスでの使い方についてお伝えします。

ザイアンスの法則

ザイアンスの法則は、1968年に米国の心理学者ロバート・ザイアンス(Zajonc)氏が提唱した心理法則の一種です。他にも『ザイアンスの効果』『ザイオンスの法則/効果(カタカナ表記の違い)』、または日本語で『単純接触効果』などと呼ばれています。

日本語の『単純接触効果』を見ても、イマイチ何を言っているのかわかりにくいです。そこで、ザイアンス氏の行った実験内容を最初に解説します。

ザイアンス氏の実験

『ザイアンスの法則』の根拠は、ザイアンス氏が大学生に行った実験結果によるものです。すべての実験について説明すると本が1冊書けるほどになってしまうので、ここでは基本的な実験内容についての説明だけにしておきます。

実験では下記の内容が大学生を対象におこなわれました。

  • 被験者(対象になった大学生)に10人の人物写真を見せる
  • それぞれの写真を見せる回数は、写真によって1回~25回のバラツキを与える
  • 写真をすべて見せ終わってから、12人の写真を並べる(見せていない写真もある)
  • 被験者にそれぞれの写真の好意度を0~6の7段階で評価してもらう

その結果、25回見せられた写真の好意度は初めて見た写真よりも好意度が高い傾向がありました。

また、別の実験では人物写真ではなく『漢字のような図形』を、普段漢字をつかっていない国籍の学生に同様の方法で見せています。この実験でも一番多く見せられた図形が、もっとも良い印象を与える結果となったのです。図形以外では、音楽、匂い、味などでもこの効果があることがわかっています。

このように『人はある対象にくり返し接すると、好感度や良い印象が高まりやすい』ことを『ザイアンスの法則』と呼んでいます。

たとえば、テレビ番組でよく見かける芸能人や、コマーシャルやBGMで何度も聞いている音楽など、最初はまったく気にしていなかった内容が、気がつかないうちに好きになっていたことはないでしょうか。

私にとっては『メガネ型ルーペ』のコマーシャルがそうですね(2019年3月現在)。最初は「直球ストレートの変なCMだなあ」と思っていましたが、今では流れているとつい見てしまうCMになっています。

この『ザイアンスの法則』をコミュニケーションや人間関係に取り入れるにはどうしたら良いのでしょうか。恋愛関係やビジネスシーンでの活用例を以下の項目でお伝えします。

法則を恋愛関係に使うには

「出会って〇〇日でプロポーズ!」という話題がときどきニュースになりますが、一般的には恋愛関係・婚姻関係になるまでにある程度の期間が必要です。この期間が『ザイアンスの法則』と深く関係しています。

コミュニケーションをくり返す

多くのカップルの場合、恋愛関係・婚姻関係になるまでに何度もデートに行ったり、メールや電話でコミュニケーションをくり返したりするステップを踏んでいるのではないでしょうか。

「出会って〇〇日でプロポーズ!」をOKした場合でも、その日に入籍することはさすがにほとんどないでしょう。入籍までにデートや電話、メールをして、お互いを知る機会をもつはずです。

このステップが『くり返し接すると好感度や印象が高まる』という『ザイアンスの法則』になっているのですね。

関心をひきたい、もっと仲良くなりたい相手がいる場合には、会うチャンスを少し意識的に作ったり、メールを少し多めにしたりするのはどうでしょうか。これらによって相手の印象が良くなってゆく可能性があります。

自己開示する

『ザイアンスの法則』から少し外れますが『相手の弱い部分を知ると、より強く相手に好意を持つ』ことが多いです。これを自分から行うと『自己開示』という心理手法になります。自分をオープンにしてゆけば相手はあなたのさまざまな面を知ることができるのです。

相手にあなたのことを知ってもらうことで、相手の警戒心をといて安心感や親近感をもってもらいやすくなります。

私の経験談ですが、以前つきあっていた相手には嫌われるのが怖くて、自分のカッコ悪いところや弱いところを見せられず、恋愛関係が長続きしませんでした。しかし、その後につきあった相手には積極的に『自己開示』したところ、がっかりされることもなく逆に好感度が高まったようです。

遠距離恋愛は別れやすい?

この法則とは逆のパターンで、『遠距離恋愛のカップルは別れやすい』とよく言われます。あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか。これは単純に遠距離恋愛で接する回数が減るため、好意度が減少して関係が続けにくくなることをあらわしています。

しかし、遠距離の気軽な連絡手段が電話か手紙しかなかった20世紀にくらべ、インターネットの発達により音も写真も映像も無料でライブ配信できるようになっています。つまり、遠距離でも顔を見ながら話ができるようになったので、以前よりも別れるカップルは減ったのではないでしょうか。

絶対に守ってほしい注意点

恋愛関係にこの法則を使うにあたっての注意点があります。

いくら『くり返し会うのが良い』からと言って、相手の気持ちを考えずに会いに行ったり、メールを大量に送ったりするのは逆効果になります。相手が嫌がる事をくり返したら、『ストーカー』になってしまいますよね。ここは、『ザイアンスの法則』の前に『相手が嫌がることをしない』という常識をもってこの法則を使ってみてください。

法則をビジネスに使うには

あなたの家には飛び込み営業の方が来ませんか。

私の家には、乳飲料の配達やリフォーム会社、自己啓発セミナーの紹介、新聞購読のお願いなど、さまざまな業種の方がよくやってきます。どの方もアポ無し(約束なし)の営業なのですが、来る人によって自分の気持ちが変わることに気がつきました

リフォーム会社の場合(オフラインビジネス)

リフォーム会社の例をあげると、ほとんどの場合初対面の人が営業にくるので、かなり警戒しています。にこやかに応対しながらも心の中では「忙しいし、応対が面倒くさいので早く帰って欲しい」と思っています。しかし、1社だけそのような感情にならなかったところがありました。

その会社の人も初対面でしたが、その会社のチラシを2ヶ月に1回くらいの割合で目にしていました。たったそれだけのことですが、話していてイヤな気持ちにならなかったのです。

まさに、『くり返し接すると好感度や印象が高まる』ですね。特にその会社とリフォーム契約はしていませんが、今後リフォームを考えるときは候補の1つになると思います。

インターネット広告の例(オンラインビジネス)

上の項であげた例はオフラインビジネスの例ですが、インターネット上のオンラインビジネスでもこの『ザイアンスの法則』を使った例が見られます。

ホームページに出ている『バナー広告』を1回クリックしたら、別のホームページに移動しても同じ『バナー広告』が出ている経験、あなたにはないでしょうか。

この何度も現れる広告は『リターゲティング広告』と呼ばれ、ユーザーを追跡して他のサイト上でも同じ広告を出す広告手法です。「一度クリックしてくれたのだから、少しは興味がある」と想定して、再度の訪問をうながします。

また、何度か見ているうちにもっと好きになるかもしれない、より欲しくなるかもしれないという、『ザイアンスの法則』の効果もねらっています。インターネットならではの広告手法ですが、初めてこの広告を見たときは、一斉にバナー広告の内容が変わってちょっとビックリしました。

ビジネスの本質的なコツ(信頼関係の構築)

2つの事例を上にあげましたが、ビジネスの本質的なコツをお伝えします。

相手にセールスをかける(購入をお願いする)ときは、よっぽどの低額商品でない限り、初めて見る・聞く商品を買う人はあまりいないでしょう。商品・サービスを買う前に『良さを知っている』『評判が高い』『自分にとってお得感がある』など、その商品・サービスに接する機会があったはずです。

その商品・サービスではなくても、販売している人やお店で『以前買ったことがある』『良い情報をもらった』など、お客さんが『満足感』を得ていることで次の購買につながることもあります。

これらがお客さんとの『信頼関係の構築』になります。

『信頼関係の構築』には『よく目にする、耳にする』という『ザイアンスの法則』に加えて、『役に立つ』『有益である』内容をプラスすることが必要です。

この『信頼関係の構築』を組み込んだセールス手法は『2ステップマーケティング』とも言われ、ダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)の基本手法となっています。いきなり売り込みをかけてもなかなか売上に結びつかない時は、ぜひ使ってみてください。

ザイアンスの法則の限界

人間関係やビジネスに有効活用できる『ザイアンスの法則』ですが、いつでも効果を発揮できるわけではありません。

ある研究結果では5回~10回程度で好意度が最大になるかもしれないと言われています。

一つ例をあげると、子供の頃に大好きだった食べ物を『食べ過ぎて嫌いになる』人がいます。『ザイアンスの法則』にしたがえば、好きなものを食べれば食べるほどもっと好きになりそうですが、一筋縄(ひとすじなわ)でいかないのが人間の心理ですね。

食べ物以外でも、頻繁に見つづけたり聞きつづけたりすることで飽きることがあります。人間関係やビジネスに利用する場合は、飽きさせないようにほどよい距離感・間隔を保つことが肝心と言えるでしょう。

アプローチ方法を変えつつ、10回ほど試してみても反応が変わらないのであれば、いったん引くことも検討してみてください。

ザイアンスの法則の注意点

『ザイアンスの法則』についてのこれまでの説明を読んで、あなたはこのように思っていませんか。

「毎日会社で会っているのに、上司のことがずっと気にくわない」
「昔好きだった人に、しつこく電話やメールをしてふられてしまった……」

この法則は、接する回数が増えれば増えるほど好感度が上がりやすくなるのですが、嫌いなものを好きになるには不十分です。

あなたも経験があると思いますが、不快な気持ちになったり、嫌がらせをされたりしたら、良い印象になるわけがないですよね。

人にとってネガティブな感情になるものは会うたび、見るたびに嫌いになるはずです。たとえば、このような例があげられます。

  • 気づかいなく、しつこく会いに行って『ストーカー』になってしまった(恋愛関係)
  • 受け手の気持ちを無視して、相手には不要な情報メールを送り続けて『スパムメール』になった(ビジネス)

これは『ザイアンスの法則』ではなくて『返報性の法則』になります。相手にされたことを自分も相手にしたくなると言う法則です。一般的には良いことに釣りあうお礼をする例があげられますが、イヤなことにもあてはまり、ネガティブな行為をネガティブな感情で返すようになります。

この『返報性の法則』について詳しく知りたい場合は『影響力の武器』という本がオススメです。Amazon楽天のリンクをつけていますので、気になったら読んでみてください。

ちょっと話題がそれましたが、嫌いな印象を『好き』に変えるには、ポジティブな感情を引き起こす必要があります

人間関係だと「感心した」「見直した」「こんな魅力的な面もあった」という感情になるでしょう。相手が喜んだり気に入ったりすることをし続ければ、悪い方向に進むことはありません。

『ザイアンスの法則』を意識的につかう時は、『返報性の法則』を少しくわえて、相手に気に入られるように使ってみてください。

まとめ

今回の記事では、何度も接すると好感度が上がるという『ザイアンスの法則』についてお伝えしました。今回の内容を簡単にまとめます。

・ある対象に、くり返し接すると好感度や良い印象が高まる
・『ザイアンスの法則』が効果的なのは10回程度まで
・『ザイアンスの法則』だけでは『キライ』を『スキ』には変えられない
・『返報性の法則』を組み合わせることでより効果的になる

『〇〇の法則』と聞くと何か特別なもののように思えますが、普段無意識でやっていた内容かもしれません。人間関係やビジネスで、もう少し良い印象を与えたいと思ったら、この『ザイアンスの法則』を意識的に使ってみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

清水龍

兵庫県在住のセールスコピーライター。環境関連のコンサルティング会社に入った事がきっかけで、提案内容を人に伝える方法や分かりやすい文章の書き方におもしろさを感じるようになる。多忙をきわめる仕事の中、ライフスタイルの見直しを模索中にセールスコピーライターという職業を知った。「文章術で人に役立つことをしたい」気持ちが強くなり、一流のセールスコピーライターになることを決意。サイト運営者である大山さんの元でコピーライティングの指導を受け、奮闘中である。