「なぜだかよくわからないけど、欲しくもない商品を買ってしまった」という経験はありませんか? このようなことはあなたが無意識のうちに行動してしまい、購入してしまった可能性が高いです。
本ページでご紹介する「影響力の武器」という本では、人が無意識のうちに行動してしまう原理について詳しく説明されています。
- 商品が思うように売れない
- 周りの人が思うように行動してくれない
- いつも自分の意志とは違う行動をしている気がする
このような悩みを持つ方は、本ページで紹介する「影響力の武器」を知ることで悩みが解決できるかもしれません。ただし、ここで紹介する原理はかなり効果がありますので、悪用は禁止です。
影響力の武器[第三版]:なぜ、人は動かされるのか
「影響力の武器」は、米国を代表する社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニが書いた書籍です。この本では「人はどのような時に、思わず行動してしまうのか」ということについて、6つの原理に分けて詳しく説明されています。
たとえば、スーパーで店員さんに試食をもらったら、その商品を買うつもりではなかったのに思わずカゴに入れてしまったという経験は、ほとんどの人があると思います。 実は、このような行動の裏にも「人が思わず行動してしまう原理」が働いているのです。
本書では、このように人が無意識に反応してしまい、行動してしまう原理を様々な実験を交えながら詳しく説明されています。
本書の特徴
私自身が本書を読んで感じた大きな特徴は、以下の2点です。
事例が豊富
1つ目の特徴は、なんといっても事例の多さです。本書では、人を行動させるための原理を実証するため、数多くの実験を行い、その結果が詳しく書かれています。これら数多くの事例を読めば、本書で解説されている原理はすべて納得せざるを得ません。
事例の中でも、特に印象的なのは「参与観察(さんよかんさつ)」です。参与観察とは、著者自身がスパイのように自分が何者であるかを隠したまま関心のある集団に入り、実験に参加する研究法です。
人を行動させるプロであるセールスマンのテクニックを知りたければ、実際にセールスを行う組織の一員に入ります。そして、自分の身を隠したまま彼らのテクニックを教えてもらうのです。
このような実験方法により、本書では、著者自身の経験を通して感じた人間の行動心理も理解することができます。
防衛法を教えてくれる
2つ目の特徴は、人が無意識に行動してしまう原理(影響力の武器)に対する防衛法が解説されていることです。防衛法を知ることで、私たちは、本来の自分の意志に反した行動をせずに済みます。
これはどういうことかというと、人が無意識に行動してしまう原理は、たびたび詐欺師によって悪用されることがあるのです。詐欺師は影響力の武器の使い手であり、私たちをあの手この手でだまそうとしてきます。
身近な例だと、警察や銀行員、役所の社員を装い、お金をだまし取ろうとする事件はよくニュースでも目にしますよね。このような事件においても、影響力の武器が存分に発揮されています。
詐欺師の言いなりにならないために、本書ではだまされないための防衛法を教えてくれる点も大きな特徴の1つと言えます。
この本をおすすめしたい人
この本をおすすめしたい人は以下のような方です。
- マーケティング、セールス、広告にたずさわる人
- もうだまされたくない人
本書は、ありとあらゆる職種の方に活用できる内容ですが、その中でも特に読んでもらいたいのは、「セールスにたずさわる人」です。
セールスは、お客様に商品を購入してもらうことが目的であるため、お客様に「購入」という行動をしてもらわなければなりません。本書で紹介されている「人を無意識に行動させる影響力の武器」を味方につければ、売上が上がる可能性は格段に上がるでしょう。
また、前述したとおり、本書では影響力の武器についての説明とともに、それらの防衛法についても書かれています。
「買いたくもないものを買ってしまった」「やりたくないことを引き受けてしまった」という経験が多くある方は、そうならないために気を付けるべきことが書かれているので、一度本書を読んでみてはいかがでしょうか。
人を行動させる!6つの「影響力の武器」を紹介
では、本書で紹介されている6つの「影響力の武器」について、それぞれの原理の説明と具体例をご紹介していきます。6つどれも普遍的で強力な原理となりますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
1.返報性の法則
1つ目の原理は、返報性の法則です。返報性の法則とは「相手がしてくれたことと同じような親切を相手にも返すべき」というルールのことです。要するに、ギブアンドテイクのことですね。すべての人間社会ではこのルールが採用されており、普遍的なルールとなっています。
前述した、スーパーの試食はまさに「返報性の法則」からくるもので、人は誰かから受けた恩は必ず返したくなるのです。
身近な例で言えば、Facebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)のようなSNSで「いいね」や「コメント」をもらうと、その相手の投稿にも同じように「いいね」や「コメント」を返したくなりますよね。
また、バレンタインデーでチョコをもらったらお返しをしなければいけない、というのも返報性の法則からくるものです。このような感情は自然と湧き上がるものであり、無意識に行動してしまう原理の1つになります。
また、この原理には以下のような特徴があります。
- 贈り物(恩)を与える相手に好かれているかどうかは関係ない
- 与える贈り物(恩)はどのようなものでも構わない
つまり、たとえ相手が自分を嫌っていたとしても、相手が欲しくない贈り物をしたとしても、返報性のルールが働くのです。信じられないかもしれませんが、本書の中の実験ですべて証明されています。
返報性の法則は、誰もが馴染みのある原則です。この原則を働かせるためには、まずは「自分から与える」ということが重要になります。
ただし、高価なものを急に贈ったり、過剰なサービスをしたりするのは相手を困らせるだけなのでやめましょう。与えるものは、常識の範囲内で考えるようにしてください。
ビジネスでの活用例
返報性の法則をビジネスで活用する場合、スーパーの試食、サンプル品の提供といった方法以外にも、有益な情報を提供することでも返報性の法則は働きます。
たとえば、セールスマンであれば、日々お客様にとって役立つ情報を提供(たとえ自分の商品とは関係のない情報であっても)するようにします。そうすることで、いざ商品を紹介したとき、お客様に購入してもらえる可能性が高くなります。
これは、日々有益な情報をお客様に提供することで、「何かお返ししなければいけない」という心理がお客様の中に働くからです。売上を上げるためにも、お客様にとって役に立つことは率先して行うようにしましょう。
2.コミットメントと一貫性
コミットメントと一貫性とは「人は、一度自分が決めた決断はその後も変えたくない」という原理のことです。
この原理の例としては、以下のようなものがあります。
- 一度見ると決めたドラマやマンガを最終話まで必ず見る
- 〇〇の資格を取れるようになるまで勉強を続ける
- 服を買うときは「このお店」と決めている
あなたも一度はこのような経験はないでしょうか? コミットメントと一貫性の原理では「一度自分が決めた決断を最後まで貫き通したい」という心理が働きます。
なぜ、私達はこのように一貫性を保とうとするのかというと、それは「一貫性を保つことで社会的に高く評価される」からです。会うたびに、意見がコロコロ変わる人は信用できませんよね。よって、人は自分が信頼できる人間であることを周りに知ってもらうために、一貫性を保つように行動するのです。
ビジネスでの活用例
この原理はセールスをする場合によく活用されます。たとえば、車のように高価な商品を売りたい場合、以下のような手順を踏むことで商談がスムーズに進みます。ぜひ参考にしてみてください。
- 簡単なアンケートに答えてもらう
- 興味のありそうな車に試乗してもらう
- 契約書にサインをしてもらう
- 頭金を払ってもらう
まずは「車について簡単なアンケートに答えてもらう」というような小さなコミットメントをしてもらうことから始めます。ここで少しでも車の購入について興味・関心があると答えた場合、アンケートに答えた人は「自分自身が車の購入に興味・関心がある」と認識するようになります。
そして次に、興味のある車に試乗してもらい、感想を聞いてみましょう。ここで「とても良い車だ」「欲しいな」という感想をもらうことができたら、お得な特典を見せて購入の意思があるかどうかを確認します。
購入の意思を確認できたら、あとは契約書にサインをしてもらうだけです。契約書へサインをもらうことができれば、車の購入を決めたも同然ですから、頭金を払ってもらうまでは自然な流れになります。
この原理をビジネスで活用する場合には、小さなコミットメントを重ねていき、徐々に大きなコミットメントへ移行することが大切です。このようにすることで購買意欲が大きくなり、最終的に成約へと結びつけることができます。
3.社会的証明
次に、社会的証明とは「たくさんの人がしていることは正しいと思ってしまう」という原理のことです。一般的に、その他大勢の人が取っている行動と同じ行動を取るほうが間違いを犯す可能性は低いはずです。
あなたも一度は、行列ができているお店を見かけて「きっとあのお店はおいしいに違いない!」と思ったことはありませんか? このような心理の裏には社会的証明の原理が働いています。
そして、この原理が最も強く働く状況は以下のような「不確かさ」と「類似性」が加わったときと言われています。
- 不確かさ ・・・ 自分自身に確信が持てない曖昧な状況
- 類似性 ・・・ 自分と似たような人が取っている行動をみたとき
これをさきほどの行列ができていたお店の例に当てはめてみましょう。
- 不確かさ ・・・ 行列ができているお店の料理は本当においしいかどうかわからない状況
- 類似性 ・・・ 自分と同じような人がお店の前に並んでいる
このような状況がそろったとき、私たちは「あのお店の料理がきっとおいしいに違いない!」と思ってしまうのです。
ビジネスでの活用例
社会的証明の原理をビジネスで活かす場合、よく使われるのが「お客様の声」です。あなたもネットショッピングをする際、レビュー数や口コミ数をチェックしませんか?
レビューや口コミが多いほど、多くの人が使っているという証拠になるので「この商品は良いに違いない!」と思いますよね。この原理はあらゆるビジネスで多く使われています。
その他にも、メルマガを発行してる人なら「私のメルマガは〇万人の方に購読されています!」、青汁を販売している人なら「この青汁は〇万人に愛飲されています!」というようにアピールします。そうすることで、社会的証明の原理が働き、より多くの人に商品を購入してもらいやすくなるのです。
4.好意
4つ目の原理は、好意です。好意の原理では「人は好意を感じている人に対してイエスと言ってしまう」という心理が働きます。
あなたは「仲の良い友達が勧める商品を買ってみたことがある」「お気に入りの店員さんに勧められた商品はいつも買うようにしている」という経験はないでしょうか? これは、相手に対して好意を抱いているからこそ、「購入」という行動をしているのです。
つまり、相手に好意を抱いてもらえるようなアプローチをすれば、相手は自分の期待する行動をしてくれる可能性が高くなるということになります。
好意に影響を与える要因には、以下の5つがあります。
- 身体的魅力 : 外見が良いこと
- 類似性 : 性格や服装、経歴などが自分と似ていること
- お世辞 : 人はお世辞を言ってくる人に対し好意を抱くこと
- 接触と共同 : 共通の目標に向かって、何度も顔を合わせながら一緒に努力をすること
- 条件付けと連合 : 人は良い印象と関連のある人に対し、好意を抱くこと(例:良い天気ばかりを伝える天気予報士には、良い印象を持つ)
以上のような要素を駆使することで、無意識のうちに相手に好意を持ってもらうことができ、あなたの思う通りの行動を相手にしてもらうことができるのです。
ビジネスでの活用例
好意の原理は、インターネットで情報発信する場合、非常に有効です。もし、あなたが何かの商品やサービスを提供しており、インターネットで集客をしたいと思っているのなら、以下のような発信を心がけてください。
- 顔出しするのであれば、できる範囲で外見に気を使う
- 自分のライフスタイルや経歴をプロフィールで詳しく説明する
- あなたが持つ問題意識、また、それに向かってどのような努力や行動をしているかを発信する
特に、好意の原理では、相手に「共感」を持ってもらうことが重要です。そのためには、相手との「類似性」を増やしていく必要があります。どんどんあなたのパーソナルな情報を発信し、相手との「共通点」を増やしていきましょう。
5.権威
権威とは「人は、権威があると判断した人の発言を信じやすい」という原理のことです。一般的に、権威者と呼ばれる人は、優れた知識や力を持っているのが普通です。よって、そうした人の命令に従うことは正しいと判断されます。
私たちは、お医者さんの言うことなら何の疑問も持つことなく従いますよね。これは、医学に対して優れた知識を持っているお医者さんには権威があるからです。
また、権威を示すシンボルには以下の3つがあると言われています。
- 肩書き : 医者、弁護士、教授、社長など
- 服装 : 白衣、警察官の制服など
- 装飾品 : 身に付けている宝石、乗っている車など
これら3つのシンボルから、人は権威があるかどうかを判断し、その人の発言を信用するようになるのです。
ビジネスでの活用例
権威の原理は、セールスをするときや来店を促す際によく活用されます。売りたい商品に権威性を感じる言葉を付け加えることで、商品に箔がつき、より商品を購入してもらいやすくなります。
飲食店でいえば、「ミシュラン〇つ星」という言葉をあなたも聞いたことがあるはずです。「ミシュラン」という権威を持った名前を出すことで、お店への印象が良くなり、お客様に来店してもらいやすくなります。
また、売り出したい商品をアピールする場合「権威者からの推薦文をもらう」というのも権威の原理を働かせるのに効果があります。
健康食品であれば「医者からの推薦文」、化粧品であれば「美容界で名の知れた人からの推薦文」をもらうのが効果的です。そうすることで、お客様から深い信頼を得ることができ、売上アップに繋がります。
6.希少性
最後は、希少性の原理です。希少性とは「人は少ないものに価値があると感じる」ことを言います。希少であることは「世の中に需要があり、良いものに違いない!」と人々に自動的に判断させるのです。
あなたも過去に、すぐに必要でもない商品を「残り1つだけだったから買ってしまった」という経験はないでしょうか? 希少性の原理では、たとえ必要に迫られていなくても、その商品に限りがあることで、よりその商品が魅力的に思えてしまうのです。
希少性の原理を発揮させるためには「数量を限定する」「時間を限定する」という2つの方法が一般的です。あなたが商品を売る場合、いつでも手に入る商品を売ってはいけません。必ず、売りたい商品には「希少性」を使って販売するようにしましょう。
ビジネスでの活用例
希少性の原理は、効率的に早く商品を売りたい場合によく活用されます。「数量限定セール」「期間限定セール」という言葉は、あなたもよく目にしますよね。このような言葉を使うことで、消費者はその商品をより魅力的に感じ、すぐに購入したくなります。
さらに希少性の原理は、商品に対し競争相手がいるとより一層威力が強まり、制御不能となります。たとえば、ネットオークションは良い例です。残り1点の商品が、はじめは安価な金額からオークションが始まったとしても、ライバルが出現することで想像以上に金額が跳ね上がることがあるのです。
その結果、オークションが終わったときには、予算をはるかに超える金額で落札していたという例はよくあります。このようなことから、希少性は、6つの原理の中でも「非常に強力な影響力の武器」と言うことができます。
まとめ
このページでは、人が無意識のうちに行動してしまう6つの原理と、その原理をビジネスで活用する場合の例をご紹介しました。
日常生活においても、ビジネスにおいても、人と人とのやり取りは必須です。ですので、今回ご紹介した「6つの影響力の武器」は必ずあなたの役に立つことは間違いありません。これらの原理を上手に活用し、あなたの人生をより良いものにしてください。
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