おそらく、あなたもこのような言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
- セールスレターでは感情を動かすことが大切だ
- 感情を刺激する言葉を使え
- 人は感情でものを買う
確かに間違ってはいません。人が商品やサービスを購入というのは、とても情緒的な行為だからです。合理的に考えたら無駄でも、どうしても欲しいと思えばお金を出すのが人間です。
しかし、感情を動かせればなんでもいいのかというと、そうではありません。結果が出ているセールスレターというのは、感情的であると同時にとても論理的につくられているのです。
そこで本記事では、感情的かつ論理的なセールスレターにするための方法を解説していきます。
購買心理から、感情の動きを知る
まずは、人が商品やサービスを購入する根本的な心理を抑えておきましょう。
人が商品・サービスを購入する2つの理由
人が商品やサービスを購入する理由は2つしかありません。それは、「必要」と「欲しい」という2つの欲求です。世の中にある商品やサービスはこの2つのどちらかに対応したものです。
どちらにも当てはまらないものもありますが、それは消費者に求められていない商品なので、長くは続かないでしょう。
それでは、順番に説明していきます。
必要(ニーズ)
一般的に「ニーズ」と呼ばれているのが、消費者が「必要だと思う気持ち」です。たとえば、台所洗剤や、歯ブラシなどの生活必需品はこの必要性を満たす商品やサービスです。
ただ、必要というのは人によって変わります。歯磨き粉が絶対に必要だと思う人もいれば、使わずに水だけで磨く方もいます。
また、マッサージなどのリラクゼーションは不必要と思う人もいますが、仕事が忙しすぎて息抜きが必要な方には必要不可欠といえるでしょう。
欲しい(ウォンツ)
一般的に「ウォンツ」と呼ばれているのが、消費者の「欲しい」欲求です。代表的なのはブランド品です。
たとえば、ブランド品のバックもノーブランドの安いバックでも機能としてはそれほど違いはありません。もちろん、「いい革を使っている」とか「色合いが違う」など良し悪しはありますが、値段の差ほどの価値があるのかは疑問です。
しかし、「欲しい」と思っているのでたとえ値段が高くても喜んで買います。手に入れること自体に喜びを感じるからです。
このように、人が商品やサービスを購入する理由は「必要(ニーズ)」と「欲しい(ウォンツ)」の2つです。
このうち「必要(ニーズ)」を満たす方は、すでに多くの競合がいるため価格競争になってしまいます。したがって、基本的にセールスレターで販売していく商品は「欲しい(ウォンツ)」という欲求を満たす商品がほとんどでしょう。
人はギャップを埋めるために購入する
人が商品・サービスを購入する理由をさらに深く考えると、そこから人を行動させる本質が見えてきます。それがギャップです。
「必要」だと思って商品を買うのも、「欲しい」と思って購入するのも、どちらも現状と理想とする状態とのギャップを埋めるために購入しています。
たとえば、歯ブラシを買う理由を考えてみましょう。多くの場合、歯ブラシを購入するときは使用中の歯ブラシが古くなってしまって、自分が必要としている役割を果たせなくなってしまったからです。
つまり「自分が求めている機能と現状との間のギャップを埋める」というのが、購入している理由です。
また、ブランド品を購入するときというのは、「ブランド品を持っている理想の自分」と「持っていない現状の自分」とのギャップを埋めるために購入しています。
もちろん購入している本人はそんなことは考えていないでしょうが、実はこのようにギャップを埋めるために商品を購入しているのです。
メリットより、ベネフィットが重要
人は現状と理想のギャップによって商品・サービスを購入します。したがって、セールスレターをつくるときは「どのような理想を叶えてくれるものなのか」を明確にしないと興味を持ってもらえません。
この「消費者が商品やサービスを使うことで、得られる未来」のことを「ベネフィット」と呼びます。ベネフィットと共によく使われる言葉で「メリット」があります。メリットはお客さんにとって役に立つ、商品やサービスの特徴から得られる効能のことです。
たとえば「爪楊枝(つまようじ)」のメリットとベネフィットの一部を挙げると次の通りです。
メリット
- コンパクトなので、持ち運びに便利
- 使い捨てなので、いつも清潔
- 木製なので、歯に優しい
ベネフィット
- コンパクトで持ち運びに便利だから、外出先でも安心して食事ができる
- 使い捨てで清潔な状態だから、口の中にばい菌が入る心配が減る
- 木製で歯に優しいから、綺麗な歯や歯茎を保てる
多くの商品は「持ち運びに便利」などのメリットばかりを主張しています。普段の生活の中でもよく見かけるのではないでしょうか。もちろんメリットは購入の後押しになるので大事です。
しかし、まずは「外出先でも安心して食事ができる」というベネフィットを知ってもらわなくてはメリットまで興味が届きません。
お客さんが本当に欲しいと思っているのは、「外出先でも、歯の汚れを気にしないで安心して食事ができる」という未来だからです。
商品目線と顧客目線
もう1つ「メリット」と「ベネフィット」の大きな違いがあります。それは、「商品目線」と「顧客目線」です。「使い捨てなので、いつも清潔」というのはあくまで商品目線で特徴を言っているにすぎません。
極端な例ですが、自己紹介のときに「私はセールスコピーライターです」と言っているだけです。
一方「使い捨てで清潔な状態だから、口の中にばい菌が入る心配が減る」というのは顧客目線になっています。
自己紹介では「私はセールスコピーライターなので、あなたの会社の売上をあげることができます」というように、伝える相手の立場になり「自分の特徴によって、あなたをどのような未来に連れていけるのか」を説明しています。
お客さんは現実と理想のギャップを埋めるために商品を買います。よって「商品やサービスを使うことで、得られる未来」であるベネフィットを伝えることが重要です。
なお、ベネフィットについては下記の記事で詳しく述べていますので、ぜひ参考にしてみてください。
コピーライティングに重要なベネフィット:商品の魅力を伝える文章
感情を動かすセールスレターのつくり方
基本的な購買心理を理解できたところで、具体的にセールスレターの作り方を解説していきます。
ターゲットをたった一人に絞る
セールスレターを書くということは、商品やサービスの販売が主な目的です。当然多くの方に買っていただいた方が利益が大きいので、ついつい多くの消費者に当てはまりそうなことを書いてしまいます。
しかし、読み手の感情を動かすレターにするために最も大切ことは「ターゲットをたった一人に絞る」ということです。たった一人に絞って書くからこそ、多くの方の感情を動かすセールスレターになるのです。
これは自分が手紙を受け取る立場になって、考えるとわかりやすでしょう。自分のことをよく知っている友人からあなた宛で届く手紙と、「お買い上げいただいたお客様へ」や「〇〇学校卒業生へ」などの宛名で届く場合。どちらが読みたくなるでしょうか。
おそらく友人から届いた方だと思います。「〇〇学校卒業生へ」というのも対象が絞られているので、不特定多数に送るダイレクトメールよりは効果的です。ただ、範囲を絞れば絞るほど反応率は高まります。
また、セールスレターを書くためにはリサーチが必要不可欠となります。ターゲットを一人に絞ることで、リサーチの精度が高まりますので、セールスレターも良いものが出来上がるのです。
したがって「ターゲットをたった一人に絞り、たった一人を理解し、たった一人を思って書く。」ということが感情を動かすセールスレターにするために最も大事なことです。
セールスレターの目的を明確にする
セールスレターには必ず目的があります。「商品を買ってもらいたい」や「メルマガに登録してもらいたい」というものです。必ず目的を明確にしてから、セールスレターを作るようにしましょう。
セールスレターというのは、旅行代理店の添乗員みたいなものです。添乗員というのは、お客さんを目的までご案内するのが仕事です。しかし、目的地がなけれ案内できませんし、そもそもツアーに人を集めることができません。
目的地を定めることで、「どのようなルートでいくか」「どのぐらいの費用が掛かるか」など必要なことがはっきりしてきます。
セールスレターも目的を決めることで、「どんなことを」「どういう流れで」書けばいいのかがはっきりします。
セールスレターの流れ(構成)を考える
ここまでで、「誰を」「どこに」連れて行くかが決まりました。最後に、「どのように」連れて行くのかを考えます。それがセールスレターの構成や流れと言われる部分です。
どれだけ購買心理を理解して個人にフォーカスして書いたとしても、流れが良くないと効果が半減してしまいます。
以下は基本的なセールスレターの構成です。
- 注意を引く
- 問題点を明確にする
- 解決策として商品を提示する
- 自分の商品を選ぶべき理由を説明する
- 行動してもらう
こうように全体の構成を考えてから、パズルのピースをはめるようにコピーを組み立てていきます
なお、今回の記事では割愛しますが、他にも有名なセールスレターの型があります。詳しく知りたい場合は、下記の記事を参考にしてみてください。
AIDA(アイーダ)の法則とは? 消費者行動のプロセスを徹底解説
QUESTの法則(フォーミュラ)とは?セールスレターの書き方│テンプレート
PASONA(パソナ)の法則とは?セールスレターの書き方│テンプレート
必ずスワイプファイルを活用する
セールスコピーライターは基本的にゼロからコピーを書くということはしません。必ず実績のあるセールスコピーを参考します。その方が、確実かつ素早く作成することができるからです。
セールスコピーライターに必須の道具である、スワイプファイルについてご説明します。
スワイプファイルとは
スワイプファイルというのは、ネタ帳のようなものです。コピーを書くときに構成や言い回しを参考にするために使います。わかりやすく言えば「パクる」ためのファイルです。
英語の「スワイプ」という単語には「盗む」や「かっぱらう」という意味があります。しかし、これをそのまま受け取って、元ネタのまま使ってしまうと著作権に引っかかってしまいますので注意してください。あくまで、元になっているアイデアを拝借するということです。
たとえば、コピーライティングの世界で、有名なセールスレターとして「ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)」のセールスレタ一があります。以下はその中の一文です。
「なぜこのような差が、人々の人生には生まれるのだろう?」そんな風に思われたことはありませんか?生まれつきの知性や才能、努力が常にその要因とは限りません。一方が成功したくて、もう一方はそうでなかったわけでもありません。
これをスワイプして、文章をつくると次のようになります。
「なぜあの店はそんなに美味しくないのに、行列ができるのだろう?」こう思われたことはありませんか。味や値段がその要因とは限りません。あの店の立地がよくて、そのほかの店が悪いわけでもありません。
このように、文章をそのまま使うのではなくて、文章のリズムや言い回しをスワイプします。同じように、セールスレター全体の流れも参考にすることが多いです。
スワイプするべきコピー
スワイプファイルとして参考にするコピーは、どんなものでも良いというわけではありません。結果の出ていないコピーをスワイプしてしまっては、同じように結果の出ないコピーとなってしまうからです。
コピーの経験を積むにつれて、スワイプするべきファイルというのはわかってきます。しかし、経験が浅いうちは以下の3つをスワイプしておくとよいでしょう。
- 広告をクリックした先のレターで長年変わっていないもの
- 有名コピーライターの書いたチラシやセールスレター
- 自分で購入してしまった商品のチラシやセールスレター
どんな世界でも良いものを作る方法は、まず良いものにたくさん触れることです。いい焼き物をつくりたければ、美術館に飾られるような作品をたくさん見て分析する。すると、自然とセンスがついて、良し悪しがわかるようになります。
コピーについても同じで、良いコピーを読んだり、分析したりしているうちに自然とセンスはついてきます。そうなれば、街中やネット上などの様々なところからスワイプするべきコピーを見つけられるはずです。
まとめ
今回の記事では、人間の購買心理から、セールスレターの構成やスワイプファイルの使い方まで多くを学んでいただきました。感情を動かすセールスレターをつくるうえで、どれも欠かせない要素です。ぜひ、何度も読み返してものにしてください。
また、セールスコピーライティング の継続的な上達ために、本サイトのメールマガジンをオススメしています。
イチロー選手の言葉に「小さなことを重ねることが、とんでもないところに行く唯一の道」というものがあります。
セールスコピーライティングも、少しずつでも継続的に学んでいくことが一流コピーライターへの唯一の道です。無料で読めていつでも解除可能ですので、ぜひ登録してみてください。
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